親の老人ホームを探し始めると、まず「種類が多すぎて違いが分からない」という壁にぶつかります。この記事では、6種類の違いをやさしく整理し、絞り込みの考え方と、見学で必ず聞いておきたいことをチェックリストにまとめました。読者は40〜60代のご家族を想定しています。

まず知っておきたい、6種類の違い(早見表)

老人ホーム・介護施設は、大きく「公的な施設」と「民間・住宅系」に分かれます。まずは早見表で全体像をつかみましょう。

種類おもな対象月額費用の目安特徴・注意点
特別養護老人ホーム(特養)原則要介護3以上約5〜15万円費用を抑えやすいが待機あり。入居一時金は原則なし。看取りにも対応。
介護老人保健施設(老健)要介護1以上約8〜15万円リハビリをして自宅に戻ることを目指す施設。原則3〜6か月程度の“中間施設”。
ケアハウス(軽費老人ホーム・介護型)原則60歳以上・所得等の要件あり約7〜17万円公的で比較的安価。介護型は手厚い介護に対応。
介護付き有料老人ホーム自立〜要介護5(施設による)約15〜35万円介護サービス込みの民間ホーム。24時間体制。費用・サービスは施設差が大きい。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・介護型)60歳以上・自立〜要介護約11〜25万円見守りと生活相談が付いた住宅。介護型は手厚い介護に対応。
グループホーム認知症の診断があり、原則その市区町村の住民約12〜18万円認知症の方向け・少人数の共同生活。5〜9人の家庭的な環境。

※上記はいずれも施設ごとの金額ではなく、種別ごとの一般的な目安です(2026年7月時点)。入居時費用が別途かかる種別もあります。実際の金額は必ず各施設にご確認ください。

費用を抑えやすい「公的な施設」──特養・老健・ケアハウス

  • 特養(特別養護老人ホーム)=費用を抑えやすいが待機あり(原則要介護3以上)。在宅での生活が難しい方が、生活全般の介護を受けながら長く暮らせる公的な施設です。入居一時金がなく費用が抑えやすい一方、人気が高く数か月〜数年の待機が生じることがあります。要介護1・2の方でも、事情によっては「特例入所」が認められる場合があります。
  • 老健(介護老人保健施設)=リハビリをして自宅に戻ることを目指す施設。医師やリハビリ職が関わる“中間施設”で、原則として在宅復帰を目標に一定期間(おおむね3〜6か月)利用します。長く住み続ける「終の棲家」とは性格が異なります。
  • ケアハウス(軽費老人ホーム)=所得に応じて比較的安価に暮らせる公的な住まい。自立寄りの「一般型」と、手厚い介護に対応する「介護型」があります。

サービスや自由度で選ぶ「民間・住宅系」──介護付き有料・サ高住・グループホーム

  • 介護付き有料老人ホーム=介護サービス込みの民間ホーム。介護スタッフが24時間常駐し、要介護度が上がっても暮らし続けやすいのが特徴です。費用やサービス内容は施設ごとの差が大きいため、比較が欠かせません。
  • サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)=見守り(安否確認)と生活相談が付いた高齢者向けの住宅。自由度が高い反面、一般型は自立〜軽度向けが中心です。手厚い介護が必要なら「介護型(特定施設の指定を受けたもの)」を選びます。
  • グループホーム=認知症の方向け・少人数の共同生活(原則その市区町村の住民が対象)。医師の認知症診断があり、要支援2または要介護1以上の方が対象です。地域密着型のため、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方が入居できます。

絞り込みは「3つの軸」で考える(要介護度・予算・エリア)

種類を覚えたら、次の3つで絞り込むと候補がぐっと絞れます。

  1. 要介護度・状態 … いまの要介護度と、認知症・医療的ケアの有無で、入れる種類が変わります。たとえば「原則要介護3以上」の特養、「認知症の診断が前提」のグループホームなど、入居条件を満たすかが最初の分かれ目です。
  2. 予算 … 「入居時費用」と「毎月の費用」の両方で考えます。公的な施設は抑えやすく、民間ホームは幅が広い、というのが大まかな傾向です。費用の詳しい仕組みは、当サイトの費用解説記事もあわせてご覧ください。
  3. エリア … ご家族が無理なく通える距離かどうかは、入居後の安心に直結します。グループホームのように「その市区町村の住民」が条件になる種類もあるため、エリアは早めに決めておくと動きやすくなります。

見学で必ず聞きたいこと チェックリスト

パンフレットやウェブだけでは分からないことは、見学で直接確認するのがいちばんです。以下は聞き逃しやすい要点です。

お金のこと

  • 月額費用に含まれるもの・含まれないもの(おむつ代、医療費、レクリエーション費など)
  • 入居時費用の有無と、途中退去したときの返還のルール
  • 今後、費用が値上がりする可能性はあるか

医療・看取りのこと

  • 看護師の配置と、夜間・緊急時の対応体制
  • 持病や医療的ケア(インスリン、たん吸引、胃ろうなど)に対応できるか
  • 看取り(最期までそのホームで過ごすこと)に対応しているか、実績はあるか

暮らしと「退去」のこと

  • 空室状況・待機の見込み(いつ頃入れそうか)
  • 認知症が進んだ場合など、どんなときに退去を求められるか(退去条件は見落としがちです)
  • 職員体制や雰囲気、食事(可能なら試食)、他の入居者の様子

ネットと「ケアマネ・地域包括支援センター」は併用が正解

施設探しは、ネットだけ・相談だけ、より併用がうまくいきます。実際、施設を探すときにいちばん多いのはケアマネジャーへの相談だという調査もあります。

  • 地域包括支援センター=高齢者の暮らしの総合相談窓口(無料・公的)。どの施設種類が合うか、地域の事情も含めて中立的に相談できます。まだ何も決まっていない段階でも大丈夫です。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)=介護の計画づくりの専門家。担当がいる場合は、地域の施設事情に詳しく、具体的な候補を一緒に考えてくれます。

当サイトは、ネットで下調べ・比較する場所として、また「勧められた施設を公的データで確かめる」ためのセカンドオピニオンとしてお使いください。最終的な相談は、上の公的窓口とあわせて進めるのが安心です。

まとめ

  • 老人ホームはまず「公的な施設」と「民間・住宅系」に分けて考えると整理しやすいです。
  • 絞り込みは要介護度・予算・エリアの3つの軸で。入居条件を満たすかが最初の分かれ目です。
  • 見学では費用の内訳・医療/看取り・空室/待機・退去条件を必ず確認しましょう。
  • ネットでの比較と、ケアマネ・地域包括支援センターへの相談は併用が王道です。

なお、当サイトは公的データをもとにしているため、各施設のリアルタイムの空室・待機状況は持っていません。空室状況も含めて、より広い範囲からまとめて比較したい場合は、次のような紹介サービスの併用が便利です。

出典

  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説」(施設種別の位置づけ・利用のしくみ) https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/
  • 特別養護老人ホームの入居対象(原則要介護3以上・特例入所)、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の対象(認知症の診断・要支援2/要介護1以上・地域密着型で原則同一市区町村住民)に関する各自治体・公的解説
  • 費用の目安:当サイトまとめ(KAIGO-DESIGN §5・種別ごとの一般的な目安/2026年7月時点。施設固有の金額ではありません)